気づけばもう4月。時の流れに驚きつつ、怠惰な自分を反省しております。
 昨年は引っ越しの慌しさと仕事を辞めたことなどが相まって、すっかり心に余裕がなかったせいか気づきませんでしたが、疎水沿いに美しい桜並木が出来上がっておりました。いまの家を選んで良かったと初めて思いました。まだ肌寒い早朝、出町柳に向かう途中に鶯の鳴き声に誘われて見上げてみれば、それは見事な桜でした。花札では鶯といえば梅の木ですが、桜ともよく合います。できればその下で、花見で一杯と洒落込みたいところでしたが、残念ながら春期講習のまっさい中なので、後ろ髪を引かれる思いで京阪に乗り込みました。しかし、大阪も淀川沿いの桜は見事なものです。京都よりも若干暖かいためかちょうど見ごろでしたので、生徒にも気分転換に散歩でも行ってみましょうと話してみました。

 現状、春期講習4連勤でブログなど書いている場合ではなく明日の準備に奔走しなければならないのですが、やはり月の変わり目、そして年度の変わり目なのでもう少しだけ息抜きといきます。

 先月の読書記録の方から。先日書いた『潮騒』に続いて三島由紀夫は『金閣寺』を読みました。読み終わった後は何とも言えない感覚に陥りましたが、他の作品も手に取り三島という作家を知りたいと思います。それから、積み上げられた本の中から伊坂幸太郎『オーデュボンの祈り』(新潮文庫)、『陽気なギャングが世界を回す』(祥伝社文庫)、道尾秀介『向日葵の咲かない夏』(新潮文庫)、宮部みゆき『我らが隣人の犯罪』(文春文庫)、夏川草介神様のカルテ1〜3』(小学館文庫)です。伊坂、宮部の作品は割と新しい作品から手を付けていたのでそれぞれデビュー作を読もうと思い買ってみました。また『神様のカルテ』は映画化とやらで昨今やたらと取り上げられているので、1,2巻を古本屋で購入し読み始め、わずか4日間で3冊とも読み切ってしまいました。こういうことしているのでいま塾の準備に追われる羽目に陥るのですが、しかしそれだけの時間を割いた価値のある本だと思いました。映画は見たことありませんので、なんとも言えませんがストーリーの展開以上にボクの心を捉えたのは美しい文章でした。きれいな言葉遣いということではなく、情景描写が非常にきれいで臨場感に溢れ、時にはその空間にいるかのような錯覚に陥るほど(が、残念ながら京阪電車の車両にいることに変わりはありませんでした)ということです。正直映像化してしまうにはあまりにももったいない文章な気がします。あまり人に本を薦めたりはしませんが、これは一読の価値があるでしょう。

 もう2週間も前になってしまいますが、竹田城跡へと旅行に行ってまいりました。ついでに方向的にはだいたい通り道なので工事中なのも忘れて姫路城にも寄ってきました。さすが大河ドラマ効果といいますか、人であふれかえる姫路城でしたが、天守閣を拝めるのは来年の今頃だそうです。今回は周りを探索したので1年後の楽しみとして取っておきます。夜は兵庫県の中心あたりに位置する山間部の宿に泊まりましたが、鍋に日本酒と最高の夕食で酔っ払い残念ながらあまり記憶がありません。ただ、いさざ(通称しろうおというのでしょうか)の踊り食いという早春の風物詩をいただき、教養が増えた気がしました。翌日は早朝から竹田城跡に上りご来光を拝み、かえってきました。忙しい忙しいと言いわけしながらなかなか腰を上げないのが悪い癖だと昔から思っておりますが、この3月は割とアクティブな1か月だったと勝手思っています、出来れば一回くらいはスキーをしに行きたかったのですがそれはまた来年。


 さてさきほど忙しいと書きましたが、実際フリーターという身分であったボクにとって忙しいというのはただの虚構であり、勝手にそうしているだけのことでした。会社を辞めようと思った一つの理由に、生きるために働くのは愚の骨頂だという思いがあったからで、それを脱却するために自由な身分を手に入れたはずなのに結局気づけば場所は変われどやっていることは一緒。塾は自分の勉強にもなっているが、スーパーの方は完全に違う。学費をためるという当初の目的はとりあえず達成したので、もうこれ以上働き続けるのは惰性に任せた思考停止状態に陥ることになるので可及的速やかにやめることにしようと決めました。

 そろそろ真面目にテスト作ります。