経験と想像

今日も塾だった。文法の選択問題で、pricelessと同じ意味の単語を選びなさいって問題があった。選ぶべきはworthlessでもvaluelessでもなく、invaluableだ。まぁちゃんと単語の勉強さえしていれば一切難しくない問題で、いつも手を焼いている生徒もさすがにこの問題は出来た。
もう少し英語の単語の話を続けるならば、invaluableという単語はin+value+ableという3つの音節から成り立っていて(in(〜ない)+value(評価する)+able(出来る))、ここから「評価できないほどに・計り知れないほどに貴重な」という意味だ。単語がなかなか覚えられない生徒には知っている単語、特によく使う単語からイメージするように伝えている。さすがにvalueは知っているし、形容詞などの先頭につくinが否定の意味を持つこともあるということは理解してくれている。問題はableだ。単独で使うときは限定用法で「有能な」、叙述用法で「〜できる」と用いるこの単語が語尾につく単語は概して、「〜できる」という意味を包含している。
一つ、imagine「想像する」という単語を例として挙げよう。この動詞には受験勉強で覚えておくべき3つの形容詞を持っていて、imaginative、imaginary、imaginableだ。それぞれ単語帳をめくったときには「想像の、想像的な」、「想像上の」、「想像できる」と書いてあることだろう。imabine+ableとはまさにそのままで「想像できる」こと・ものなわけだ。
さて前置きがながくなってしまったがテーマである「想像」について書いていくことにしよう。
先日の忘年会で、実はかなり酔っぱらっていてつい饒舌に話してしまった気がするのだが、ちょっと経験と想像の話をした。最近、僕が専攻でもなく微塵も興味もなかったシェークスピアについて読み始めた動機にもなるのだが、想像をする時には、ある程度自分の経験に基づいていると思う。この前は例として、南極の寒さを(なんとなく)想像できるのは日常生活において"寒い"ということを経験したことがあるからだ。一方で舞台を見て感動したということを想像するのは難しいと言ったが、実は後者の例はあまり適切でないことにいま書いていて気づいた。舞台を見るという行為に限定して感動したことがあるかないかについて考えれば経験したことはないが、同様な状況として映画を見て感動するということを考えれば、実はあるかもしれない。もっと適切な例を考えると、極端な例で言えば、人を殺した人間の気持ちを想像することは出来ないという例のほうが適切かもしれないので修正しておこうと思う。
想像するという行為は自分の経験にある程度基づいている一方で、一度経験してしまったことはその人の想像に少なからず影響を与えるということもまた真であるように思える。ちょっといい例が思いつかないので続きはまた明日。お化け屋敷や渓谷にかかる吊り橋を例として思いついたが、それは"想像"という行為ではなく単に"知識"として知っているだけなので、考えます。